ダーウィンの“進化論”は有名であるが、彼はその著「人間の由来」に於いて、道徳の起源について論じているので参考までに提示してみたい。

 「彼は、社会的な動物が有する共感や奉仕などを“社会的本能”と呼び、それが他の短絡的な欲求や本能と葛藤を起こすような事態を想定した。この葛藤では、多くの場合、一時的な衝動が勝り、人は他者を犠牲にして自分の欲求を満たすことになる。しかし、人のように知的能力が高く内省できる動物では、自分に都合のいい欲求が満足されたとしても、より永続的に作用する社会的本能は消えずに残り、そこに自責の念や後悔・恥といった道徳的感情が生まれる。そして、将来は過去とは違ったように行為することが促される。ダーウィンはこれを良心と呼んだ。」

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ダーウィンの言う“社会的本能”と“他の短絡的な欲求”と言うのが、実現論でいう“共認”と“自我”に置き換えることができ、そうすれば、ほとんど実現論に相似する。自責の念や後悔・恥などの感情を生起させるのが、集団内の共認規範であると捉えられる。社会的動物である人間は、一旦自我は生起するも、集団規範に基づいた共認圧力により自我は抑制される、と言っている。ということは、“良心”というのは“集団規範”により産み出される、プラスの感情と表現することができる。


木橋哲夫