2012年10月

HLA分子

免疫の話、突然変異の話、面白く読ませていただいています。

免疫学者の多田富雄の『生命の意味論』の中に、関連する面白い記述がありましたので、紹介させていただきます。

臓器や皮膚を移植した時の拒絶反応に関係しているといわれるのが、主要組織適合抗原ですが、略語でMHCと呼ばれています。このうち、例えばネズミではH-2、サルではRLA、人間ではHLAという略称です。

実は、人間の60 兆全ての細胞膜の上に、いわゆる「自己」の指標としてのHLAタンパクがつきだしいています。6種類のクラスⅠ抗原と6種類のクラスⅡ抗原から構成され、それぞれが多様な構造を持っているため、全てが同じという組み合わせは、他人では極めて希です。

人間の体を構成している様々なタンパク質は、個体によって違うわけではないのに、HLA分子だけは、例外的に著しい多型を持っています(親子でも兄弟でも組み合わせは勿論異なります)。移植の際の拒絶反応は、このHLAの違いを免疫のT細胞が認識することによって起こります。

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なかなか難しいことになりましたね

突然変異に対する疑問ですね、

>遺伝子に全てを還元しなくても、全ての突然変異が進化に結びつかなくても、進化の原因が突然変異=偶然にある個体の遺伝子に変異が起こること、にあるとしているように思います。<

進化の原因を遺伝子に求めるきらいがある(遺伝子にすべて換言されることの危険性)というのはそのとおりだと思います。それは、私も多いに同意します。ただ、DNAは進化過程の中で取り込んで増えたり、あるいは損傷を受けたり(活性酸素などによって、平常でも絶えず変異している。その意味では突然変異という提起があまりふさわしくないと思いますが…)、そしてそれを修復したりと、DNA自身も絶えず安定と活性をくり返しています。そのことによって、進化が促進または固定されていったことは否定はできないと思います。同様に、人類の第二の進化を担っている最先端機能である共認→観念機能(概念進化)も、将来のどこかでDNAに刻印されていくかどうかも否定できないと思います。

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遺伝子決定論のような

進化の主体を種とするという点は、同意ですよ斎藤さん。言われるとおり実験で検証することは、そもそも無理があると思いますが…。

>種は単に個体の総和でなく、各個体の協同作業・相互依存する関係により成立しているものであるならば、自ずと個体だけを対象とすることには限界があります。確かに、種を主体とした進化を考える場合、実験での検証は困難かも知れません。しかし、実験で検証可能な範囲に留まり個体差を出発点にしている限り、個体・種・生態系という生物全体の進化を見渡せないように思います。<
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突然変異・個体差・自然選択について

> 「ある個体に生ずる変異」という出発点も、進化を考える際に普遍的なものというより、今後検証が必要な内容でしょう。

同感です。主流の進化論では、「ある個体に生ずる変異」を出発点とするために、個体に生じる変異の原因が必要となり、そこで「突然変異」が登場します。

突然変異は以前の種の枠を越えた、個体差を持つ個体の登場を意味しますから、この個体が自然淘汰において生き残るなら、長い年月を経て次第に突然変異を起こした個体の持つDNAが集団内に広がり、新たな種が生まれる=進化する、ということになります。

ところが、実験により確認されていることは、突然変異を強制的に発生させると、個体に表現型の変異が起こることであり、それにより新たな種が生まれることが確認できたわではありません。しかし、主流の進化論は、突然変異が進化に結びつくとアプリオリに前提にしています。

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自然環境について

>環境は大きく次の3つに分類できるでしょう。
>1.自然環境
>2.他種(集団外)環境
>3.同類(集団内)環境<

なるほど。これをもとに、私なりに考えてみました。

まず、1.の「自然環境」ですが、これは、厳密に言うと純物理的な環境要素(重力や気圧・水圧、太陽光や温度など)ということになるのでしょうか。例えば、何年か前、スペースシャトルで、鶏の卵の発生の実験が行われたことがありましたが、受精10日以内で無重力状態にした卵は全滅、受精後30日で無重力状態にした卵の半数は孵化までいきませんでした。通常は、重力が脊椎の形成の際の指標となり、重力方向の右と左・腹と背というのをさらに指標として正常な発生が始まるのですが、無重力状態では脊椎の形成および左右・腹背の判別が正常にいかない、というのが原因らしいです。重力など、地球に住んでいればあたりまえのことですが、それがないだけで生命は正常に発生できないわけです。

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