2018年06月

生命・細胞・血球の起源③-3

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【8】初期細胞新生説時代

 ①ウオルフの細胞新生説

 17世紀にフックが細胞を発見した当時には、まだ細胞の起源について誰も知る人間はいませんでした。細胞形成に関し最初に考えを述べたのはウオルフ氏体の発見者として有名なウオルフだと云われています。彼は1759年にその著で『凡ての器官は最初、透明、粘着性、無構造の液体であるがその内部に空胞が現れ、それが栄養物質を堆積して成長し、遂に細胞となる』と述べています。

 このような現象は千島喜久男の観察、即ち赤芽球から出芽様形態で無核赤血球が形成される過程とよく似ています。彼は細胞を独立実体であるとは考えず、細胞の形成は生活物質に含まれる形成力による受動的な結果だと考えました。ウオルフの細胞説の主要点は▼細胞は偶発的に発生する▼均質的な生活物質中に分化によって各種の部分が体制化される▼この体制化(有機的組織化)に際して細胞は能動的であるより受動的である、という3点に要約されています。このウオルフの説は1801年にマーベルによっても支持されています。

 ②スペンガルとキースの細胞新生説

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経験をコード化して記憶する遺伝子マーカー

経験をコード化して記憶する遺伝子マーカーリンクから転載します。
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■マウス実験で記憶を形成する遺伝子マーカーが発見された
イスラエル、ヘブライ大学の研究チームは、脳が記憶を神経細胞同士の新しい結合の中に蓄える仕組みを解き明かすことを目的とした研究を行っていたところ、この発見をした。脳は記憶を蓄えるために遺伝子によって集められた新しいタンパク質を使っていることが知られている。マウスを使った実験で今回明らかになったのは、異なる経験が遺伝子活動にさまざまな変化を引き起こすということだ。

■実験内容とは…
例えば、病気にしたり、ご褒美を与えたり、あるいは電気ショックやコカインを与えたりといった経験だ。実験開始から1時間経過した時点で、マウスを殺し、記憶が形成されることで知られている脳内の7つの領域(海馬や扁桃)において発現している遺伝子を調べた。

■経験内容の中で同種類の遺伝子マーカーが現れた
結果、いくつかの経験は似たような反応を引き起こしており、その結果として驚くほど似た遺伝子マーカーが発現していたことが明らかになった。この発現した遺伝子を観察すれば、マウスがどの実験グループに属していたのか判別することもできた。その精度は90パーセント以上である。マウスは良い記憶と悪い記憶を別々の方法で保管しているが、マウス間では概ね似ているようだ。この発見は、動物の生涯における形成イベントの性質の理解を促進してくれる。
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一世代の個体記憶でも遺伝子RNAに刻印される

「個体が獲得した能力は遺伝されない」は生物学の常識と考えられているが、個体の記憶は遺伝子RNA(可変可能な遺伝子)に刻印され、その遺伝子を移植する事により別個体が「記憶」を獲得する研究がありました。

>「記憶を移植」 米研究者らがアメフラシの遺伝子で成功
BBC NEWSJAPAN より リンク
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記憶の移植は長らく、典型的なSF(サイエンス・フィクション)のテーマだったが、最近の研究によってそれが現実味を帯びつつある。
米大学の研究者らはこのほど、海に住む軟体動物のジャンボアメフラシの個体から別の個体に、遺伝子のRNA(リボ核酸)を使い、記憶を移植することに成功した。
研究者らはまず、ジャンボアメフラシに刺激に対する防御反応を起こす訓練を行った。その個体から取り出したRNAを訓練を受けていない別の個体に移植すると、刺激に対して訓練された個体と同様の反応を示したという。
米科学誌「eNeuro」に掲載された研究結果は、記憶を形作る物理的な仕組みについて新たな知識を提供する可能性がある。
高分子のRNAは、タンパク質生成や、遺伝子情報を形質に反映させるという、より一般的な働きを含む、生物上の仕組みにかかわっている。
研究者たちは、ジャンボアメフラシの尻尾に軽い電気ショックを与え、防御反応で体を縮ませるように訓練した。
訓練されたジャンボアメフラシは、体を触られると約50秒にわたって収縮したが、訓練されていない個体が体を縮ませたのはわずか10秒程度だった。訓練された個体は、電気ショックに敏感な状態になっているのが分かる。
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生命・細胞・血球の起源③-2

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【7】細胞生物学の提唱

 ①細胞と生物学

 細胞は生物体の構成単位であることは周知の事実です。しかし、生物学研究者のなかには細胞の構造や機能をほとんど考慮することなく、非常に狭い分野の研究に専念する人や、従来の細胞学を鵜呑みにして、その上に自らの研究をむやみに積み重ね、いわゆる定説に当てはめようと努力している人が余りにも多いようです。誤らない生物学は正しい細胞観を基盤としなければならないのに、どうしても前述したような生物学的傾向が多くなっている理由には次の3項目が考えられます。

(ア)生物学の専門化…研究者は分科に分科を重ねた狭い専門的な分野にたてこもり、自分の研究領域を明確に区分し狭く局限された自分の分野を一歩も出ないことが、立派な研究者の態度であると考えている向きが感じられます。

 科学の進歩とともに研究者の範囲や研究方法が拡大し複雑になり、研究の専門化は実際上のこととしてやむを得ないことでしょう。しかしそれが行き過ぎとなり、またそれが正しい方法だとされ、他を顧みることがなくなると、部分にとらわれ全体との繋がりを忘れがちになります。
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生命・細胞・血球の起源②-1

( リンク )より引用
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【3】動的な形態学の登場

 1 形態や構造の軽視傾向

  生物学の発展過程は収集、形態観察、命名、分類に始まり物理化学的分析、数学的処理などの順序で発達するといわれています。たしかに、近代における生物学の傾向をみるとき、生命現象の探求に物理的、特に化学的解析の技法を用いる研究者が増加し、この技法こそ生命問題解明の唯一、無比の強力な武器だと考えるようになっています。

  生化学的に生命現象を探求することは確かに必要なことです。しかし、それを重視し過ぎる余り構造、形態の面を軽視する傾向が目立つように思えます。こういうのは極端な表現かもしれませんが、細胞の形態や構造を無視し、或いは忘れ試験管内での化学反応を殆どそのまま生体に当てはめることが誤りではないというような考えに傾くことは妥当とはいえません。

  細胞の生化学を研究するからには、細胞についての正しい基礎的知識(それは決して既成学説をそのまま鵜呑みにして信奉することではない)をしっかり理解し、その基礎の上に立って判断を下す必要があります。形態と構造とは不可分の関係にあります。構造や形態は既に研究し尽くされたものとして放置し、化学的組成の分析や機能の探求のみに熱中していては、真の生命現象は何時になっても解明されないことでしょう。
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